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生かされている

09 May 2012

※前回からの続きです。


* * * * * * * * * * * * * * * * * *


ある日、いつものように買い物を頼まれて、近くの市場まで買い物をしに行きました。


手には渡された100ペソを握って。


sachimexicomarket002.JPG



まず入り口近くの八百屋さんで数個の野菜を買うと35ペソだったので


100ペソを渡して65ペソのおつりを貰いました。


毎日のように買出しに行くので、すっかり市場でも顔なじみの人が出来、


お会計のときにはおまけをもらったり、安くしてもらうこともよくありました。


次に香辛料を買いに香辛料屋さんへ。


シナモンやごまを頼まれていたので、そこで買い物をし50ペソを渡して


15ペソのおつりを受け取りました。


手元には10ペソが3枚、30ペソの残りです。


買い物メモを見ると、最初の八百屋さんにはない野菜があったので


その野菜を探しに他の八百屋さんに向かいました。


何件もの八百屋さんに聞いてみるものの、なかなかその野菜がなく「困ったな~」と


辺りをキョロキョロしていると、やっとその野菜が見つかりました。


すっかり時間も過ぎていたので、小走りでその八百屋さんに近づきそのメモを見せると


書いてあった分の量の野菜をササッと包み


「25ペソだよ!」と勢いよく言いました。


手元には30ペソがあったはずなので、それを渡そうとすると・・・










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










ない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない!!!!!!!!!!










なぜだか手元に20ペソしかない!!!!!!!!!!!!!










なんで!!!?????!?!?!?!?!?!!???!?










バックの中を見ても、元来た道を戻っても、ない!


どこにもない!!!










どうしよう・・・・・・・・・・・。










お金をなくすなんて、最悪だ・・・。










日本円にすればさほど大きな額ではないけれど、額ではなくてなくしたことが大問題です。


なんで10ペソなくしたんだろう・・・。


なんで・・・?


どこで・・・・・?


考えても考えても分かりません。


けれどもないものはない。


一度レストランに帰って事情を話すしかない。


怒られるよりも呆れられることが怖くって、そのシェフの顔を想像するだけで


胃がキリキリしてくるけど・・・言わなくちゃ・・・・・。






言わなくちゃ・・・、帰らなきゃ・・・。






そう決心をして顔をあげた瞬間、隣にいる妊婦さんと目があったのです。


話の一部始終を聞いていた妊婦さんは、迷いをまったく感じさせないほど素早く


財布から10ペソ出して私に渡してくれたのです。










「これであなたの買い物をして!!!」










と言って。


見ず知らずのアジア人の私に、お金を握らせてくれたのです。


一瞬意味が分からなかったものの、状況が分かると


「あ、ありがとう・・・!でも受け取れないよ!」と断ると


ニッコリ笑って、お札をもう一度握らせてくれました。






あ・・・・・!!






なんと言ったらいいか言葉を詰まらせている間に、その妊婦さんは颯爽と出口側に
歩いて行きました。


追いかけることも出来ずに、「Gracias!!!(ありがとう)」とだけ叫ぶと、
姿はもう見えなくなっていました。


妊婦さんが握らせてくれた10ペソをしばらく眺め呆然としていると




「どうすんだいお嬢ちゃん?」




八百屋さんのママに声を掛けられハッと我に返り、しばらく考えて


手元の20ペソと、妊婦さんに貰った10ペソを合わせて30ペソを払いました。


仕事が終わったらあの妊婦さんにお金を返しに行こうと決めて。


sachimexicomarket.JPG


* * * * * * * * * * * * * * * * * *




仕事が終わると、あの妊婦さんを探しに市場に戻りました。


こじんまりとした地元の市場なので、顔見知りは絶対いると思ったのです。


しかし・・・特徴を告げても誰も知っている人がおらず途方に暮れてしまいました。


誰に聞いても


「 No se...(知らないよ)」と返ってくるばかり。


辺りが真っ暗になり、そろそろ自分も部屋に戻らなければならない時間です。


今までだって・・・お金じゃなくても、こうやってたくさんの優しさに守られて旅を続けて来れました。


ある時は自宅に招いてもらったり、ある時はごはんを食べさせてもらったり


そうやって今まで幸せな旅が出来てきたのです。


その人たちに返すことは出来ないかもしれないけれど・・・


返せる時に、目の前にいる人に返せばいいのだろうか・・・。


結局、旅スル人たちはそういう答えに落ち着くのですが、やっぱり私もそう思うのです。


バックパッカーはただの旅のスタイルではなく、バックパッカーという思想ではないかと思います。




「荷物一つで生きていける、必要なものなんてそんなに多くはない」


「優しさは循環している」




そういう思想を掲げて、世界を渡り歩いているような気がします。


または、その答えに出合いたくって・・・なのかもしれません。




* * * * * * * * * * * * * * * * * *




結局、妊婦さんにお金を返すことは出来なかったけれども


いつか・・・お金という形でもそうでなくても、同じように私も出来るように。




「世界は優しさで出来ている」




そう、言えるように。


そんな世界であって欲しい、そんな願いを込めて、このことを忘れたくないと思うのでした。

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