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続けるのかやめるのか
05 Apr 2012
※前回からの続きです。
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出勤2日目。
メキシコ料理への希望と情熱が燃え上がる反面、現実問題、語学力がついていかないことに
心がボキボキと音をたてて折れた出勤1日目。
不安をかき消すために、昨晩は更にスペイン語の料理用語を勉強しました。
「今日はいったい何本の心が折れるんだろう・・・」と下向きになりそうなところを
「出来る限りのことはやった!」と言い聞かせながら無理やり気分を盛り上げ出勤。
すぐに前日と同じように、大量の野菜を切ります。
ひたすら切りながらも周りで飛び交うスペイン語に耳を傾けながら。
日本語でも「みじん切り」「ダイス切り」と細かく切る中にも大きさによって言葉が違うように
スペイン語でも呼び方が違います。
ちょっとした、本当に、ほんのちょっとしたそんなことでも
言葉が分からないというのは、そういう所から分からないのです。
日本語でない言葉で働くというのは、そういうこと・・・。
「大丈夫!出来る!」
と、自分で自分を盛り上げてきた朝。
でも、少しでも分からない言葉があって流れが止まってしまう度に
「私は本当にここにいていいのだろうか・・・。」
そう思い始めると途端に落ち込みます。
仕事の流れを止めるって情けないし、申し訳ないし、そもそも私がいない方が
よっぽど楽でしょう。
「冷蔵庫の中の○○を3つ!」
とお願いするのも、その言葉の中には「○○を流水で洗ってから5cm幅に切って・・・」
などの意味合いが含まれていて、ベテランの人であれば
「冷蔵庫の中の○○を3つ!」で済むことも、私には
「冷蔵庫の中の○○を3つ、流水で洗ってから5cm幅に切ってここに持ってきて!」
と言わなければなりません、ゆっくり簡単な言葉を選んで。
これって、本当に面倒なこと。
教えることの難しさ、自分とスピードが違う人間と一緒に仕事するもどかしさを
教える気持ちも、教わる気持ちも分かるからこそ
考えれば考えるほど落ち込みのループにはまります。
「sachi!チャヨーテを切ってくれ!」
チャヨーテとは、中南米ではとてもポピュラーで
日本ではハヤトウリという名前で売られている野菜です。
食感はキュウリよりも硬く、大根よりも柔らかいので浅漬けとして食べても美味しいですし
メキシコ料理では、スープなどの具材に使います。
シェフはこんな私でも本当に優しく、言葉では伝わらないと察して
切り方を最初に見せてくれます。
その優しさが逆に辛かったり、有難かったり、とにかくいろんな感情がごちゃ混ぜになって
半ば泣きそうになりながら、もくもくと仕事をこなしていました。
シェフはどんな場面でも私の知らない新しい工程に入る前に
「sachi!」
と必ず呼んで見せてくれます。
それを全部メモし終えたのを確認すると復唱させられます。
想像してみてください。
ここは通常営業をしているレストランです。
忙しい時になると、みんなバッタバタで自分のことだけでいっぱいなはず。
それでもわざわざ私を呼んで、仕事の流れを止めてでも新しいことを
簡単なスペイン語で丁寧にゆっくり教えてくれる。
その想いを感じれば感じるほど、泣きそうになり、励まされ、
でもやっぱりちょっと落ち込みそうになるけど
「よし!がんばろう!」
そう思えるようになったのです。
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