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旦那様を祈る祭り

09 Mar 2010

ウダイプルからブンディーに寝台バスで移動し、着いたのは早朝とも言いがたい朝の4時。


この時間に着いたら誰もいないんだろうなぁと思っていたものの


思いのほかリキシャの運転手が声を掛けてきました。


この時間であれば、法外な運賃をふっかけられることなんて当たり前。


それなのにいくらか聞いてみれば、この街のリキシャ運転手はなんとも庶民価格の運賃を


言ってくるではありませんか。


拍子抜けしたものの、好印象!


ヒンドゥー語しか話せないと申し訳なさそうに言うけれど、申し訳ないのはヒンドゥー語を


話せないこちらなのです。


やっぱりどんなに旅をしていても、第一村人にその街の印象を左右されます。


この信用出来そうな運転手のリキシャに乗ると、勧められた宿に向かい、


道の真ん中に堂々と陣取って寝ている犬の親子の寝息も聞こえそうなくらい静かな街を


走り出しました。


当然、昼間は賑わっているであろう街もこの時間はまだシャッター街。


それでも、宿に着きチャイムを鳴らすとすぐに返事がありました。


すぐに宿をそこに決め、宿の方と少し話しをしてみると、まったく曇りのない明るい青年で


ますますこの街の印象が良くなりました。


寝台バスとは言えども、道路状況が悪く、バス内で休むどころか逆に疲れていたので


「 チェックインはあとで良いですよ、早く休んでください 」 という心遣いに


有難く甘えさせて頂き、そのままベッドに倒れこんだのでした。




すっかり日が高くなった頃に目を覚まし、チェックインを済ませると、シャワーを浴び、


観光に出掛けました。


その晩、ごはんを宿の家族と一緒に食べていると、今晩女性だけの祭りがあるとママが言い、


食後にお供え物を作ると言うので、いつもの通り図々しく 「 一緒に作りたい! 」 と


お願いをしてキッチンに入り込んだのでした。


私の仕事は 「 インドごはん。~ セット編 ~ 」


http://www.one-plus.net/blog02/2010/03/post-42.htmlでも


ご紹介した、お祝い料理・プーリー係!


予め用意された生地を、一定の大きさに丸めておく・・・。


それだけなんですが、なんせ量が多いっ!


ざっと100個は丸めたでしょう。


それをママの妹が薄く伸ばし、ママが揚げる。3人掛かりの仕事です。


お供えもの料理を作るのは、日本でも当然女性の仕事。


そんな各国共通の女性の世間話をしながらも、私が手早く丸めないと次の作業が出来ないので


ただ丸めるだけなんですが、結構焦る!焦る!!


この日これから行われるお祭りは、既婚女性が旦那様の幸福を祈る祭りで、


シヴァ神の奥さん、パールバティを祭る日だそうです。


未婚女性はと言うと、シヴァ神の様にいい男性が現れますように・・・と祈り


この時期に男性は結婚相手を決める大切な時期だそうです。


結婚してすぐ日本を出てきた私は、嫁らしいことも妻らしいことも何もしておらず


それでも毎日こんなに幸せに暮らしていたら、そろそろバチが当たるのではないかと


思っていたので、このタイミングでこのお祭りはなんとも私にちょうど良い祭りだったのです!


普段いつも隣にいて、なかなか感謝を伝えきれないパートナーへの祈りをするために


日本で出来ない嫁仕事を、異国の地インドでお手伝いさせて頂くと


気持ちが引き締まって、背筋がシャンと伸びる思いになるのでした。




深夜12時半に宿を出発すると、赤いサリーをまとうことで有名なラジャスターン州の女性たちが


各家庭で作ったお供え物を持ちながら、同じ方向にそぞろ歩き、


昨日は犬と牛しかいなかった静かな街を、砂漠地帯の乾燥した街に咲く


真っ赤な花のように鮮やかに彩っています。


10分程歩くと、そのお寺が見えてきました。


整然なんて言葉はインドにないのは分かっていたのですが、それにしてもひどい混雑っぷり。


それもそのはず。町中の既婚女性が集まっているんです。


IMGP0060sachiindia.jpg


IMGP0061sachiindia.JPG


ママに 「 混んでいて大変だけど、私にしっかりついてくるのよ! 」 と言われると


「 はい! 」 としか言えず、言われた通りママのサリーの端っこを握って


インド女性に負けないようにギュウギュウの中に突っ込んでいきました。


お祈りを捧げる場所につくと、ママはひどい混雑にも関わらず順番と方法を


丁寧に教えてくれるので、それに習って手早く同じようにお供えものをしてお祈りをしました。


IMGP0064sachiindia.jpg


壁に彫られた神のレリーフの口にお供え物を運び、ターメリックやヘナをつけた右手薬指


( ママは「 神の指 」と言ってました )で逆卍( まんじ )を書きます。


どうやらガンゴールというこの祭りは、「 旦那様が食べ物に困らず、健康でいられますように 」


という意味の祭りなようです。


ヒンドゥーの既婚女性たちは、深夜にこんな健気な祈りを毎年するんですから


頭があがりません。


IMGP0067sachiindia.jpg


私は相変わらず無宗教ながらも、宗教のこう言った感謝の気持ちは見習いたいものです。


「 ビッグ・ママ 」 とママが呼ぶ1つめのお寺でその儀式が終わると、


「 スモール・ママ 」 と呼ばれるお寺に向かいました。


そこもまたひどい混雑ぶりです。


皆、赤いサリーで正装している場所に、私のような興味本位で来てしまった日本人がいるので


好奇の目に晒されていることは、気持ちの良いこととは言えませんが、


自分で選んでしていることなので、私は一向に構わなかったのです。


ただママが嫌な思いをしていないかが心配だったのですが、ママは皆に私のことを紹介してくれて


そして皆、寛容に受け入れてくれる。


そのことが嬉しくて、肌寒い夜風とは裏腹に胸がキューっと熱くなるのでした。


もう1つのお寺でもお祈りを済ませ家路に向かうと、何の変哲もないただの道端に突然座り込み


「 靴を脱いで! 」 と言われました。


お祈りが始まる合図です。


そうすると、4人の女性が砂に線を書き始めたのです。


今までと違う方法に 「 ??? 」 と首をかしげたら、ママは 「 Farmer 」 と言いました。


それでも意味が分からなかったのですが、その書いた線に沿って麦を置き始めたときに


やっと分かりました。


これは豊作を祈る儀式で、擬似種まきをしているんです。


麦を置き終わると、水を撒き、かき混ぜ、お花を置き、祈りを捧げます。


そして家の前に着くと、門の前でもまた祈り、このお祭りは幕を閉じます。


ママにお礼を言って部屋に戻ると、体がポカポカ温かくて


すっかり良い気分になっていました。これが祈りの力なんでしょうか。




ヒンドゥー教徒の生活をのぞいてみると、プジャー ( 祈り ) は他のどんな大切なことよりも


重要視され、物事はその都度中断されますが、むしろそのくらいの余裕を見習いたいものです。


日本人のような無宗教でなければ、こんなにも興味だけで色んな宗教に頭を突っ込むことは


出来ないと思いますけれども、それが日本人の特権とでも言えるのではないでしょうか。


旅と今生を色濃くするために、観光地でない部分に近づき、


生活や食事、宗教の側面から世界をもっと垣間見たいと思うのでした。

Comment

おぉぉー、とっても良いタイミングにいい街に入ったねー。
いやー、これを読んで、やっぱりブーンディー最高って思った。
本当にいい人ばかり。
また行きたくなっちゃったよ・・・

09 Mar 2010 | スミサト

Twitter経由にてこんにちわ。
良い時期の巡り合わせとはまさにこのことなんですね~。

そうだ、お祭りとお祈りってセットなんですよね。
日本のお祭りてば、もはや観光の一部だなぁと笑

あまりに素敵な一日を過ごされていたので、
コメントさせていただいちゃいました。笑

09 Mar 2010 | chandafone

ステキな祭に巡りあえてばっかりだね、インドでは。
祭好きのふたりを祝福してくれちゃってるのかしら?
うーん、うらやましくて嫉妬しちゃう(笑)!
帰ってきたらたっぷり手料理をご馳走してもらわなきゃ、気が済まないよー。

10 Mar 2010 | かな子

スミサトさん
ブーンディー最高です!
インドの好きな街ベスト3に入る良さです。
観光というよりも、観光ズレしてない人の優しさにあたたかい気持ちになります。
教えてくださってありがとうございま~す!!

12 Mar 2010 | Sachi

chandafoneさん
はじめまして!
おかげさまで素晴らしい毎日を過ごしてます!
私もインドに来るまでは、「祭り=祈り」だということ、す~っかり忘れてました。
日本に帰ったら、日本の文化や祭りも見直してみようと思うのでした!!

12 Mar 2010 | Sachi

かな子さん
本当に祭りに恵まれた旅をしていますね!
インド料理研究に勤しんでますので、日本に帰ったら
「子供も大好き!インドカレー☆」な~んてレシピ作っちゃおうかなっ 笑

12 Mar 2010 | Sachi

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