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キューバで刻む時

28 Sep 2012

他の旅人から聞いていたごとく、空港を降り立った瞬間から


キューバはまるで時が止まったかのような雰囲気を漂わせていた。




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街を走るのは1950年代よりも前に作られたクラシックカー。


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ハバナを包む塗装の剥げたコロニアル風の街並。


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他の国なら間違いなく立ち入るのも勇気が必要な寂れたところも


ここキューバではまったくといっていいほど治安的な心配はない。


むしろ街を包む古びた雰囲気よりもキューバの人々の快活な笑顔に目がいく。


老若男女、音が響けば体が反応してしまうキューバ人の底抜けの明るさに


今まで抱いていたなにやらキナ臭いイメージはいっぺんに吹っ飛んでしまった。


首都ハバナが放つ今までにない開放感に嬉しくなり街のあちこちを散策してまわる。


ある日、旅人に勧められた列車にのって郊外まで日帰りでぶらりと出掛けてみることにした。


予想を裏切らないキューバらしい駅は、線路がなければそれとわからないほど、


住宅街の一角のあり、思わず何度か確認をしてしまった。


なんだかそんな事をするのも久しぶりな気がしてちょっと嬉しかったり。


なんの合図もなく唐突に現れた列車に乗りこみ郊外へと走る。


民家の軒先を縫うように走る単線の列車の車窓からは人々の生活が間近に見て取れる。


少し走ると視界が開け、長閑な農村地帯が広がった。


しばらくその農村地帯を走ると列車が駅とも言えないような場所で止まり、乗客が乗り込んでくる。


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その乗客は人だけとは限らない。鶏や豚もその乗客の一人。


運賃を取られているかはわからないけれど。。。


またしばらく走ると今度は本当になんにもないところで列車が止まる。


乗客を乗せる風でもなく、乗っていた乗客が次々に降りていく。


どうやら列車の故障のようだ。


かといって、イライラを車掌にぶつけ先を急ぐような人はおらず、いつもと変わらない日常のようだ。


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僕たちもけして先を急いでいる訳ではないので、他の乗客と同じく外に降りてみる。


どうやら故障した場所は分かっているようで、人が集まってあれこれやっている。


その中には明らかに列車のことがわかってないような人も交じっているけれど、


みんなでわいわいと楽しそうに車掌と一緒に直そうとしている。


30分ほど経った頃、なんとか修理が完了したようでゆっくりと列車が動き出す。


それとともに列車を降りてくつろいでいた人たちが戻ってきて


走り始めた列車に飛びつき乗り込んでくる。


日本ではありえないけれど、走り始めた列車に飛び乗る光景は世界でそれほど珍しいことでもない。


けれど少しはしゃぎながら飛び乗ってくる乗客を見てなんだかちょっと嬉しくなってしまった。


新幹線が1時間遅れただけでニュースになってしまう日本で、


サラリーマンが山の手線をはしゃぎながら飛び乗っていたら面白いのに、、、


でもきっと事件になってしまうに違いない。




このほんのちょっとしたハプニングの後、列車は乗客をのせて順調に走って行く。


途中、単線ですれ違う為の線路で対向列車をやり過ごし、また順調に、、、




当初予定していた降車駅には着いていないけれど、故障で遅れたので


復路の列車が先に行ってしまったようだ。


そもそも列車に乗る為だけに乗った乗客は外国から来た観光客だけなわけで、


キューバの人にとってはどこですれ違おうか問題はない。


もちろん案内なんてある訳もなく。。。


車掌に確認をするとやはりさっきすれ違った列車が復路の列車だったようで、


一日数本しか走っていない復路が来るのはまだ何時間も先の話だ。


それでも、まぁ行ってしまったものはしょうがない。


次の駅で降りて待つしかないかと諦めていたら車掌が運転手に何かを言って列車が急に止まり、何人か居た他の観光客らしき人にここで降りて歩いて戻るように言っている。


よく分からないけど、我々観光客らしき人たちは、


牛がのんびり草を食んでいるような長閑な野っ原で降ろされて、


スタンドバイミーさながらに線路の上を歩いて戻る。


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他の観光客らしき人たちもキューバの風にあてられてか


自分たちの置かれた状況が可笑しいのか意外と楽しそうだ。

歩き初めて5分も経ってないだろうか、先程すれ違ったと思しき列車がこちらに向かって走ってくる。


まさかとは思っていたが僕らの前で列車が止まり、


中から乗ってこいと合図してくるではないか。


しばらく歩くと覚悟していた我々一行は突然の嬉しいハプニングに拍手喝采。


乗っていた乗客からもヒューヒューと口笛で歓待され、


なんだかむず痒いけれどキューバ人の優しさと陽気さにふれて少年のように心が踊った。


便利なもので溢れているはずなのに、なぜかますます時間に追われていくように感じる日本で暮らしていた僕には、逆走までして僕らを迎えにきてくれたキューバの列車が忙しい現代人が古き良き時代に置いてきた大切なものを運んできてくれたようにみえた。


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